今日は、kintone SIGNPOSTについて。
kintone SIGNPOSTを初めて読んだのは紙の書籍でした。 その時、涙があふれてきて、自分でも驚きました。 べつに感動する内容の読み物ではないのに。
先日参加したkintone SIGNPOSTランチ雑談会で、誰かが言っていた「経験が言語化されている」。 その言葉を聞いた瞬間、あの時の涙の理由も言語化された気がしました。
自分がやってきたこと、当時どう感じていたのか。 なんとなく覚えている経験が、kintone SIGNPOSTの言葉として表現されていたのです。
パソコンが部署に1台だったころ
思い出されるエピソードはたくさんありますが、自分の中で印象的なものの一つは、新卒で就職した職場でのQC活動のことです。
当時、パソコンが一人1台なく、研究員は実験ノートと手書きのグラフ用紙が基本でした。 グラフはテンプレートで記号を書く、あれです。
これは、ChatGPTに書いてもらったイラスト。まあざっくりそんな感じ。

ワープロ全盛の職場でしたが、私の部署にもパソコンが1台ありました。入社年から考えるとWindows 95。 Excelも入っていましたが、一人で自由に使える環境ではなく、なかなか上達しにくい状況でした。 しかし、私は大学の研究室でMacでExcelを使っていたため、職場の中で圧倒的にExcelに長けており、その部署の定番の少し特殊なレイアウトのグラフをExcelで作ることができました。
そのころ、私は若手研究員として、アシスタントたちとチームを組んでQC活動をしていました。 その取り組みとして、研究員が実験データを既定の用紙に記入(手書き)すると、アシスタントさんがExcelに入力してグラフにする、そんな流れを仕組み化しました。
前のExcelファイルをコピーすれば、いつも同じ形のExcelができる。 入力専用のひな形を用意しておいて、コピーしてから入力するようにすれば、前のデータの削除の手間もない。 そんな工夫をしながら得られた業務改善の効果としては、研究員が手書きでグラフ作成する時間が、アシスタントがExcelに入力する時間に置き換わるというものでした。
そうしてグラフが楽に、きれいに仕上がるようになると、他の研究員もその仕組みでグラフのExcel化をアシスタントに依頼するようになりました。
研究員の手元にあった手書きのノートやグラフ用紙がExcelに置き換わったことで、いつのまにか全員の実験データがひとつのフォルダに集まるようになったのです。
以前は、各自がそれぞれのノートに実験結果を書いているだけで、情報は閉じたまま。 お互いに研究成果が共有しやすくなったとき、その大きな効果に気が付きました。
全員のデータがそろうことで、本人は重要と思わず報告していなかったことが、他の実験と関連して大きなヒントになるといった発見も生まれました。
そうして、
- 重複や類似の実験が減る
- 他の人の知見や失敗に触れられる(失敗の情報が貴重)
- 議論の前提がそろう
といった、「情報がオープンになっていることへの効果」を全員が実感するようになっていきました。
kintone SIGNPOSTの「2-16 オープンな閲覧権限」を読んだとき、その昔の経験が強く思い出されました。
組織内における情報格差が小さくなり、業務の属人化を予防できる。また全文検索による偶発的情報共有が起きることで新たなアイデア創出につながる。
当時は、見せない設定をしていたのではなく、単に物理的に共有が難しかっただけです。 ただ、当たり前だったその壁が壊れて実験データを共有された経験が、「オープンな閲覧権限」の意義をよりはっきりと感じさせてくれました。
言語化できると、経験は誰かの道しるべになる
それまでの私は、「あの時よかったな」という程度の表現しか持っていませんでした。
でも、kintone SIGNPOSTを読んだことで、
- 自分がやってきたこと
- なぜうまくいったのか
- どんな価値が生まれていたのか
が明確な言葉になり、整理されました。こういうことだったんだなあと表現されている感じがうれしくて涙になったのだと思います。
これは思い出と、kintone SIGNPOSTがリンクした経験の一つです。
ほかにも、あの時うまくいった理由、うまくいかなかったわけ、選びそこねた選択肢。 そんな経験を、今の知識と照らし合わせて振り返ることができます。
kintone SIGNPOSTは、先人の経験が言語化されています。 自分の経験を重ねながら読んでみてほしいし、重ねずにはいられない体験をしてほしい本です。
そして、自分の経験もまた、いつか誰かの道しるべになればと願っています。
kintone SIGNPOST勉強会
毎週木曜日のランチタイムに開催されています。 お昼ご飯を食べながら、おしゃべりしている場。おもしろかった体験や、ぐちりたいこと、おしゃべりしている内容を聞いてふと思い出したことをチャット書き込んだりしているなかで、みんなの経験が言語化されるところを体験できる場です。 わたしも参加できる時に参加しています。お気軽にぜひ!